アンティーク着物の価値はどう決まる? 査定の仕組みと相場

お母さまやおばあさまから受け継いだアンティーク着物。タンスの奥にしまったままになっていませんか?
捨てるにはあまりにも惜しい、美しい柄や鮮やかな色の着物を見ると、懐かしい思い出がよみがえるものです。
しかし、「どんな基準で査定されるのだろう?」と不安に思うことはありませんか?
大切な着物だからこそ、着物の知識が豊富で、丁寧に査定してくれる業者にお願いしたいですよね。
この記事では、査定の仕組みや相場を事前に知ることで、納得のいく着物の手放し方を選べるようになります。
- 思い出の詰まった着物を未来へつなげるための参考になれば幸いです。
- 目次
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- 査定士が見る5つのポイント
1.1 年代
1.2 保存状態
1.3 生地の素材
1.4 市場の需要
1.5 作家やブランド - アンティーク着物の買取相場
2.1 銘仙
2.2 著名作家・ブランドの着物(例:久保田一竹など)
2.3 高級織物(結城紬など)
2.4 ノーブランドの着物
・まとめ
- 査定士が見る5つのポイント
アンティーク着物の価値を決める査定基準

希少性や文化的価値によって査定額が大きく変わるため、専門性の高い着物買取業者や、買取実績のある業者に査定を依頼することが何より大切です。
ここでは、着物買取専門の査定士が注目する5つのポイントについて解説します。
査定士が見る5つのポイント

1:年代 | |
2:保存状態 | |
3:生地の素材 | |
4:市場の需要 | |
5:作家やブランド |
1:年代
アンティーク着物は、戦前に作られた着物の総称を指します。中でも、大正・昭和初期に作られた着物は、希少性や伝統技法の観点から特に高く評価されます。
着物買取専門の査定士であれば、デザインや色柄、染めや織りの技法から年代を見極めることが可能です。
一方で、ご自身で年代を判断するのは非常に難しいのが現状です。
査定次第では、数十万円の高値が付くこともあるため年代の価値がわかる確かな業者、に依頼することが重要です。
2:保存状態
査定士が着物を見る際に最も重視するのが、保存状態です。着物の生地は非常に繊細ですので、保存状態が悪いと劣化が進み、価値があっても査定額が付かないことがあります。
査定額が下がる主なダメージ
・汗シミ・黄ばみ(特に胴裏や衿元)
・虫食い・穴あき・裾のほつれ
・カビ臭(長期間タンスに保管されていたものに多い)
・色褪せ・日焼け(紫外線による退色)
着物の保管には、「たとう紙」という和紙を使用するのが一般的です。たとう紙が湿気を吸収し、カビの発生を抑えてくれますので、年に一度は交換し、風通しのよい場所で陰干しすることが劣化を防ぐポイントです。
劣化が進む前に、できるだけ早めに査定に出すことをおすすめします。
もし劣化が激しい場合は、高価買取が難しくても、着物の価値をつなぐリユース業者を利用することで、次の世代へ受け継ぐことができます。
3:生地の素材
アンティーク着物の価値を決めるうえで、生地の種類は査定額に大きく関わります。 特に「正絹(しょうけん)」と呼ばれるシルク100%の生地は、最高級の素材とされ、高価買取の対象となります。また結城紬や、大島紬といった伝統的な染織技法が使われている着物も、評価が高くなります。
・正絹(しょうけん):振袖や留袖だけでなく、カジュアルな着物に使用される、シルク100%の生地。なめらかな手触りと、独特の光沢が特徴。
・結城紬(ゆうきつむぎ):国の重要無形文化財に指定された、上質な糸で紡がれる最高級の紬(つむぎ)。本場結城紬には証紙が貼られている。
・大島紬(おおしまつむぎ):奄美大島を発祥地とする、世界三大紬のひとつ。熟練した職人によって手作業で織り込まれ、十の字絣(かすり)模様が特徴。
・芭蕉布(ばしょうふ):沖縄の伝統織物で、生産量が限られているため、希少性が高い。
4:市場の需要
着物の色柄が市場でトレンドであるか、需要があるかは査定額に大きく影響します。アンティーク着物といえばレトロモダンな銘仙が有名です。
銘仙(めいせん)とは?

特に「大正ロマン」と呼ばれるポップな柄や、華やかな色使いの着物は、現代の若者にもカジュアルに楽しまれ、SNSやメディアで人気が高まっています。
また、幾何学模様やアール・デコ調のデザインは洋服との相性も良く、現代のファッションに取り入れやすい点が魅力です。そのため、着物愛好家の間で人気が高まり、需要も増えています。
市場価値
銘仙の着物は元々普段着のため、正絹の振袖や訪問着に比べると買取価格は低めです。
しかし、デザイン性の高い銘仙はコレクターに人気があり、リメイク需要も高まっています。また、海外市場においてもアンティーク着物の需要は拡大しており、特に欧米では日本の伝統的なデザインが高く評価されています。
5:作家やブランド
アンティーク着物の中でも、著名な作家や伝統工房によって作られたものは、一般的な着物よりも高い価値がつきやすい傾向にあります。これは、高度な技術や独自のデザインが施されており、芸術品としての評価が高いためです。
特に、落款(らっかん:作家のサイン)や証紙(しょうし:正規品を証明するタグ)が付いている着物は、価値が保証されやすいので、査定に出す前に確認しておくと良いでしょう。
高価買取される代表的な作家と特徴
1.久保田一竹(くぼた いっちく)
久保田一竹(1917~2003年)は、『辻が花染め(つじがはなぞめ)』の復刻を目指した染色工芸家です。
久保田は、室町時代の染色技法『辻が花染め』の復刻に約20年を費やしました。久保田が60歳の時に完成させたのが『一竹辻が花』で「光響」や「富士山」といった作品があります。
ぼかし染めを多用し、幻想的な色彩と立体感のある柄が特徴です。
フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受賞し、国内外で高い評価を得ています。
市場価値
オーダーメイドの作品は数百万単位の値がつくこともあります。リユース市場でも高額で取引される傾向があります。
初代久保田一竹と2代目では買取価格が異なります。落款のデザインによって、初代と2代目の違いを見分けることができます。
画像出典:久保田一竹美術館
2.木村雨山(きむら うざん):友禅染めの巨匠
木村は1891年に石川県で生まれ、1977年まで活躍した加賀友禅の作家です。友禅とは、布に模様を染める伝統技法で、色が混ざらないよう糊を使うのが特徴です。
木村は京友禅(きょうゆうぜん)の技法を継承しながら、日本画で学んだ手描き技法を取り入れました。
そのため、繊細で温かみのある優しい色合いが特徴です。代表作には「群」や「魚のむれ」などがあります。
1955年に人間国宝に認定され、1983年のパリ万博では銀賞を受賞しました。
市場価値
状態の良い木村雨山の友禅着物は、10万円以上で査定されることもあります。友禅染めの技術は非常に高度で、現代では再現が難しいものも多いため、高い評価を受けています。
これらの着物は日本の文化的価値を象徴する、アート作品です。
アンティーク着物の買取相場

アンティーク着物の買取相場は、これまでにお伝えした条件に加えて、需要と供給のバランスによって決まります。
購入時には何百万円もした着物でも、現在の市場で需要が低ければ買取価格が大幅に下がることがあります。
例えば、バブル期に高値で取り引きされていた豪華な刺しゅう入りの留袖や振袖も、現代では需要が減少し、当時の価格の10分の1以下になることがあります。
以下に示す相場はあくまでも目安ですが、参考としてご覧ください。
銘仙
買取価格相場:~10000円
補足:もともと普段着として使用されていた銘仙は、一般的に買取価格が低めです。しかし、保存状態が良好でデザインに希少性があれば高値が付くこともあります。
著名作家・ブランドの着物(例:久保田一竹など)
買取価格相場:~200,000円
補足:作家名を証明する落款や証紙が付属していることが重要です。
高級織物(結城紬など)
買取価格相場:~100,000円
補足:重要無形文化財に指定されている織物は特に高い評価を受ける傾向があります。
特に結城紬は市場に出回る数も少なく、希少価値が高まっています。
ノーブランドの着物
買取価格相場:~10000円
補足:未使用のもの、シミ汚れがないもの、証紙や証明書がなくても状態がよいもの、落款があるもの、振袖や色留袖、訪問着などの格式が高いもの、大きいサイズのものは価格がつく可能性があります
まとめ
アンティーク着物の買取価格は、着物の状態、デザイン、そして市場の需要によって変動します。また、振袖や色留袖、訪問着などの格式の違いも査定額に影響します。
これらの価値を正しく見極めるためには、着物に精通した査定士がいる業者を選ぶことが重要です。
保管状態を整え、証紙や落款があるか確認する ことで、より良い価格での買取が期待できます。
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